# 生成AIの効果が出ない本当の理由は、評価制度にある

公開日: 2026-05-20 / 執筆者: 箕輪　旭 / カテゴリ: 生成AI, DX人材, 人材・組織

生成AIのツール導入は、多くの企業で一段落しつつあります。CopilotやChatGPTを業務に取り入れ、そろそろ「生成AIを使ったことがない」人も少なくなった。そんな中、DX推進・AI推進担当者の多くは次の壁にぶつかっています。**「ツールは入れたが、組織全体の成果はあまり変わっていない。」**

**その原因のひとつが評価制度にある**、というのが、本記事の提案です。

せっかく生成AIを使えるようになっても、今までと同じ働き方で評価されてしまう、または、生成AIを使って働き方を変えても評価は大きく変わらない。この状況では、社員がわざわざ新しいやり方に踏み出す理由がありません。ツールだけが変わって、働く人の行動が変わらない。それが、生成AI導入の効果が広がらない理由のひとつです。

生成AIの導入効果を本当の意味で引き出すには、ツールを変えるだけでなく、評価制度を変える必要があります。本記事では、生成AI時代に求められる評価制度の見直しについて、3つの視点からお伝えします。

## **生成AIが「評価の前提」を壊す**

現在、日本企業の約8割が、個人が目標を設定しその達成度を測るMBO（目標管理制度）を導入しています。また、優秀な社員の行動特性を基準にしたコンピテンシー評価と組み合わせて運用しているケースも多くあります。これらの制度に共通するのは、**「決められた手順を正しく実行できたか」「設定した目標をどれだけ達成したか」**を評価の軸にしている点です。

生成AIの登場は、この前提を変える効果があります。AIを使うと、これまで熟練が必要だった業務も含め、多くの社員が一定水準の成果を出せるようになります。いわば、全員が80点を取れる環境になるのです。一方で、AIをうまく活用した一部の社員は、従来の基準では想定されていなかった150点の成果を出し始めます。

この状況で評価制度が変わらないと、何が起きるでしょうか。AIを使わずに60点しか出していない社員も、従来の基準ではそこそこ評価される。一方、AIを駆使して150点の成果を出した社員も、100点満点の評価軸では100点と変わらない扱いになる。これが、導入でお伝えした「働き方を変えても評価が変わらない」という状況の正体です。

この構造を変えるために、3つの視点から評価制度の見直しを考えます。

## **視点① 「正しい手順を踏んだこと」の評価をやめる**

生成AIが使える環境では、手順の実行はAIが補完してくれます。マニュアル通りに仕事を進める能力は、差別化の要素にならなくなっていきます。もちろん、手順を踏むこと自体に専門性が求められる仕事もあるでしょうが、そういった仕事は例外的なケースになっていくと考えられます。つまり、「正しい手順通りできたこと」を評価基準にすることは、AI時代には差がつかない評価基準であり、その前段とし、AIを使っても使わなくても評価が変わらないということでもあります。

まずは「正しい手順を踏んだこと」を評価基準から外すことが、新しい評価設計の第一歩です。

## **視点② 達成率ではなく、ビジネスインパクトの絶対量で評価する**

MBOの構造的な問題のひとつは、評価が「目標に対する達成率」で決まる点です。100点満点の目標を設定した社員が150点の成果を出しても、制度上は100%の評価にしかなりません。これは従来からあった問題でもありますが、生成AI活用が進むにつれ、さらに顕著な問題になっていきます。

必要なのは、上限のない評価軸です。「何%達成したか」ではなく、「どれだけのインパクトをビジネスにもたらしたか」を絶対量で見る。売上への貢献、コスト削減、新たな顧客価値の創出など、インパクトの大きさそのものを評価の基準にすることで、AIを活用して突出した成果を出した社員が、正当に報われる制度設計にします。

## **視点③ 「問いの質」を新たな評価軸に加える**

もうひとつ、AI時代に新たに加えるべき評価軸があります。それは、「どんな課題に向き合ったか」という問いの質です。

AIは、与えられた問いに対して高い精度で答えを出します。しかし、何を問うかを決めるのは人間です。一般的な問いからは一般的な答えしか生まれません。鋭い問いを立てられる人材こそが、AIを真に活かせる人材です。この軸を評価に加えると、成果の大きさだけでなく、何に挑んだかが問われるようになります。大きな成果を出した社員でも、問いが一般的であればそこそこの評価にとどまる。一方、成果が出なかったとしても、鋭い課題設定に挑んだ社員はある程度評価される。結果と挑戦の両方を見る制度です。

## **DX推進担当者が果たすべき役割**

ここで挙げた3つの視点は、いずれも評価制度の根本に関わる話であり、人事部門や経営層を巻き込んだ議論が必要になります。

しかし、その議論を始めるきっかけをつくるのが、DX推進・AI推進担当者の役割です。「ツールを入れました」で終わらせず、「評価制度も変えよう」と訴えること。その一歩が、生成AIの導入を本当の意味で組織変革につなげる力になります。

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出典: スタディメーター株式会社 — https://studymeter.jp/insights/cvpei0ee1nlh

執筆者プロフィール: スタディメーター株式会社　代表取締役。オンライン学習サービス「Udemy」にて、非エンジニア向けの分かりやすく実践的なIT講座がベストセラーとなり、 これまでに25万人以上を指導。さらに活動の幅を広げるため、2020年にスタディメーター株式会社を創業。 「挑戦したくなる世界」の実現を目指して、新しい一歩を踏み出したい人のサポートに取り組んでいます。
