# NetflixのDXに学ぶ「DVD宅配」から世界2.8億人のプラットフォームになるまで

公開日: 2026-04-15 / 執筆者: 宮﨑　秀成 / カテゴリ: DXの基礎, リテラシー

## NetflixのDX戦略に学ぶ「DVD宅配」から世界2.8億人のプラットフォームになるまで

DXの成功事例としてNetflixの名前を聞いたことがある人は多いでしょう。ただ、Netflixの本当の教訓を正しく理解している人は意外と少ないかもしれません。

「ゼロから動画配信サービスを立ち上げた革新的な企業」。そんなイメージを持っていませんか。実は違います。Netflixの出発点は、1997年に創業した「DVDを郵送で届けるレンタルビデオ店」でした。店舗を持たず、オンラインで注文を受けてDVDを自宅に届ける。返却も郵送。延滞料金なしの定額制で、当時の大手Blockbusterとは真逆のモデルです。

ここに**DXを考える上で見落としてはいけないポイント**があります。

## DVDを届けていた会社が、なぜストリーミングに転換できたのか

2007年、Netflixはストリーミング配信を開始します。テレビ視聴が減り、YouTubeが登場し、映像コンテンツの消費がオンラインへ移行する兆しが見えていた時期です。

ここで注目すべきは、DVD事業を一気に捨てなかったことです。DVD郵送の収益で新事業を支えながら、並行してストリーミングを育てました。「既存事業か、新規事業か」という二者択一ではなく、「既存事業の収益で新しい届け方を試す」という段階的な移行を選んだのです。

この判断の根底にあったのは、「**自分たちは何を届けているのか**」という問いです。NetflixはDVDを届けていたのではありません。「映像コンテンツを手軽に楽しめる体験」を届けていた。届ける手段がDVDからインターネットに変わっても、**届けている価値そのものは同じ**なのです。

## **データが「勘と経験」を置き換えた瞬間**

2013年、Netflixは「ハウス・オブ・カード」でオリジナル番組の制作に踏み出します。他社コンテンツのライセンス費用が高騰する中、自社で作ることで差別化と収益の安定を図った判断でした。

興味深いのは、この番組が「勘」で作られたものではないということです。Netflixには数千万人の視聴データがありました。どの俳優の作品が最後まで見られているか。どのジャンルで途中離脱が少ないか。どの時間帯にどんな作品が再生されているか。このデータを分析した上で、「ケヴィン・スペイシー

主演の政治ドラマなら高確率でヒットする」という結論を導き出し、制作を決定したのです。

結果は大成功。この手法はその後のオリジナルコンテンツ戦略の基盤になりました。ベテランプロデューサーの直感ではなく、**視聴者の行動データに基づいて番組を作る**。これもDXの1つの形です。

さらに2022年には、加入者数の成長が鈍化する中で、低価格の広告付きプランを導入しています。「サブスクリプション一本」というビジネスモデルに固執せず、広告収入という収益源を加えた。2024年時点で全世界の有料会員数は約2.8億人に到達しています。

## Blockbusterはなぜ消えたのか

同じ時期に同じレンタルビデオ市場にいた企業があります。Blockbusterです。全米に9,000店舗以上を展開していた業界の巨人でした。

Blockbusterにもストリーミングに転換するチャンスはありました。実際に2004年にはオンラインレンタルサービスを開始しています。しかし、店舗事業の売上が大きすぎて、オンラインへの本格シフトに踏み切れなかった。店舗の賃料、スタッフの雇用、延滞料金という収益源。これらを手放す判断ができないまま、2010年に経営破綻しました。

Netflixとの差を生んだのは、技術力ではありません。「今うまくいっている手段を手放せるかどうか」という姿勢の違いです。Netflixは「DVDを届けること」に価値を置かず、「映像体験を届けること」に価値を置いた。だから、手段が変わることに抵抗がなかった。**Blockbusterは「店舗でDVDを貸すこと」そのものが事業だと考えていた**から、それを手放せなかったのです。

## 自社のDXを考えるときの出発点

Netflixの事例を自社に置き換えるとき、最初に考えるべきことは「**自分たちが本当に届けている価値は何か**」です。

製品やサービスそのものではなく、顧客が受け取っている本質的な価値。物流会社なら「荷物を運ぶこと」ではなく「届けてほしいタイミングに届く安心感」かもしれない。研修会社なら「講義を提供すること」ではなく「受講者が自信を持って新しいスキルを使えるようになること」かもしれない。

この「**本質的な提供価値**」が言語化できると、次の問いが自然に浮かびます。「**今の届け方は、この価値を届けるのに本当に最適か？**」。対面販売をECに変える、買い切りをサブスクリプションに変える、人手で行っていた分析をAIに任せる。手段を見直す余地は、どんな業界にもあるはずです。

DXを「今のビジネスとは無関係な新しい何か」と捉えると、方向性を見失います。Netflixが教えてくれるのは、DXとは「自社の提供価値を守るために、時代に合わせて手段を更新し続けること」だということです。まず自社の**「本質的な提供価値」を1文で書き出してみてください**。そこがDX戦略の出発点になります。

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出典: スタディメーター株式会社 — https://studymeter.jp/insights/g20p8zqni5h

執筆者プロフィール: スタディメーターの学生インターン「First off Projects」メンバー。ニコニコ超会議2026にて展示するAI教育ゲームの企画から開発までを、GPT APIやClaude Codeを活用して一人で手がける。AIを正しく使いこなすためのリテラシー普及に取り組んでいます。
